2016年07月19日

書籍のご紹介”抗菌薬おさらい帳”

大変ご無沙汰しておりますが、書籍のご紹介です。
共同で執筆させていただき、何とか無事発刊に至りました。

抗菌薬おさらい帳
http://www.jiho.co.jp/shop/list/detail/tabid/272/pdid/48681/Default.aspx
編著 関 雅文/編著
石坂 敏彦、上田 浩貴、尾田 一貴、橋口 亮、眞継 賢一、山田 智之/著
判型 A5判
発行日 2016年7月
ページ 240頁
定価(税込) ¥2,808
在庫 予約受付中

薬剤師の初学者向けではありますが、PKPDやTDMの情報も充実しておりますので、医師の皆様にもお役立ていただける一品となっております。
非常にお求めやすい価格となっていますので、ぜひ入手してみてください。
posted by だっちょ at 11:42| Comment(2) | 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月26日

情報交換会の告知です:第2回 ACID カンファレンス in Kobe

情報交換会の告知です。カンファレンスと銘打ってますが、呑み会です(^^。

第2回 ACID カンファレンス in Kobe

日時 :平成28年6月9日(木曜) 時間未定(18:30前後)
   (日本化学療法学会(神戸)の初日)
場所 :神戸三ノ宮付近
会費 :5000円前後

参加希望の方は、5/27までに私まで連絡ください(BMs-PodのHPや同意画面にメールアドレス記載あり)。
ただし、参加人数が多くなりすぎた場合は、先着順とさせていただきますので、予めご了承ください。




ACID とは"Antimicrobial stewardship Committee of Infectious Diseases control pharmacist" の略で、抗菌薬ラブな薬剤師の非公式の交流の場です。平成27年の化学療法学会(新宿)の時にベースが出来て、第1回を平成27年11月の医療薬学会のときに開催しました。30名近い参加者がありました。今回、この30名を超える勢いが得られればと思います。

現在、多施設共同研究の計画もあり、今後活発な活動につなげていこうとしています。もちろん情報交換会の参加だけでも結構です。

どうぞよろしくお願いいたします。
posted by だっちょ at 14:20| Comment(2) | 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月01日

抗菌薬適正使用はめまぐるしく変化する薬物動態を把握しなければ達成不可能である

今回問題にしたいことはどういうことか。バンコマイシンの血中濃度が最大量投与しても上がらないということは、何らかのクリアランスの亢進が起きていると考えることが自然である。この場合、その亢進のメカニズムがどのようなものなのかを考えれば、現在話題になっているAugmented renal clearanceを考えざるを得ない。

その機序は、心拍出量の増大などにより生じる腎血流量等の増大によるものであると推察されている。もしもこの機序が正しければ、バンコマイシンのクリアランスの亢進は、そのままGFRの増大を示していると言える。同時に、ARCは現在腎機能のことを考えられているが、他にも肝血流量などにも生じうる可能性があるとしている(AHC?)。その場合、肝代謝型の薬剤の中でも、肝血流依存型の薬剤がもろに影響を受けるわけである。

とりあえず肝代謝型の話はおいておいても、ならばリネゾリドやダプトマイシン、テイコプラニンならばどうなのという話題となる。どうなのといわずもがな、どれも影響を受けると考える方が妥当である。テイコプラニンに変更するとするならば、バンコマイシンでは増量は懸念されてしまうが、テイコプラニンの増量は許容しますよと言っていることと同様である。テイコプラニンはバンコマイシンよりも副作用が少ないとされており、多くの方が実感として持っていると思われる。そういう意味では、増量を許容するのは理にかなっている。

じゃあリネゾリドやダプトマイシンはどうなのか。ARCの概念はバンコマイシンやβラクタムでよく言われるところであるが、実はこれらの薬剤でもそれらしい報告がある。

リネゾリドの血中濃度が低値を示すとの報告
Crit Care. 2014 Jul 10;18(4):R148.
Variability of linezolid concentrations after standard dosing in critically ill patients: a prospective observational study.
Zoller M, Maier B, Hornuss C, Neugebauer C, Döbbeler G, Nagel D, Holdt LM, Bruegel M, Weig T, Grabein B, Frey L, Teupser D, Vogeser M, Zander J.
PMID:25011656

→この報告については、ARCの第一人者に近い研究グループからすぐにコメントがきていた。同意とのことだ。
Crit Care. 2014 Sep 15;18(5):525.
Therapeutic drug monitoring: linezolid too?
Richards GA, Brink AJ.
PMID:25673559

ダプトマイシンは症例報告ではあるが存在する。
Infection. 2014 Feb;42(1):207-10. doi: 10.1007/s15010-013-0511-2. Epub 2013 Jul 25.
Daptomycin underexposure in a young intravenous drug user who was affected by life-threatening Staphylococcus aureus-complicated skin and soft tissue infection associated with bacteraemia.
PMID: 23884723



ということは、血中濃度が低いから治療できない、との考察からoptimizationを計る場合に、単純に薬剤を変えるだけでは駄目だということになる。私はこういう場合、バンコマイシンの持続投与を行うことが妥当ではないかと考えている。テイコプラニンの増量もよいと思う。むしろリネゾリドやダプトマイシンに変更すれば、問題点の盲目化を引き起こすだけで、何の解決にもなっていないと思うし、薬剤師としての介入に失敗していると思う。

こういう場合、リネゾリドやダプトマイシンのTDMを行って、十分量まで引き上げなくてはならない。血中濃度が低いという報告があり、そのロジックも推定ながら示されている中、これらの薬剤のTDMはやらなくてもよいというのは、本当に患者のことを考えているのかと不安に思う。
たぶんARCが起きているから増量する、とすれば、本当は増量が必要ない患者に対しても増量すればそれは有害事象の可能性もあるし、なんせこれらの薬剤は高いために、本当に必要な患者をTDMで洗い出して増量するようにした方が、医療経済学的にもよいはずである。
posted by だっちょ at 14:56| Comment(4) | 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月28日

ちょいと皆様にお尋ね

「バンコマイシンの血中濃度が低い・・・」 
こんな悩みのときにどうするか。特に小児で起こりやすい。
「先生、もう80mg/kg/day投与しているのにバンコマイシンのトラフ値が3しかありませんが…」
こんな光景を良く見るのである。


そういうときにどういう対応をとるのか。

1.80mg/kgを超えて投与する
2.テイコプラニンに変更する
3.リネゾリド 10mg/kg×3に変更する
4.ダプトマイシン 6mg/kgに変更する
5.ダプトマイシン 10mg/kgに変更する
6.その他

いかがでしょう。
posted by だっちょ at 16:25| Comment(2) | 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月02日

selective digestive decontamination

この言葉をご存知だろうか。要するに消化管内を殺菌しちゃおうというもの。よくSDDと言われたりする。知っておいて損はない。

↓例えばこんな報告がある。ゲンタマイシン80mg×4/dayとコリスチン100万単位×4/dayの経口投与プラスこれらの混合ゲルを口腔内に塗布のレジメンで効果ありとのこと。
A randomized, double-blind, placebo-controlled trial of selective digestive decontamination using oral gentamicin and oral polymyxin E for eradication of carbapenem-resistant Klebsiella pneumoniae carriage.
Saidel-Odes L, Polachek H, Peled N, Riesenberg K, Schlaeffer F, Trabelsi Y, Eskira S, Yousef B, Smolykov R, Codish S, Borer A.
Infect Control Hosp Epidemiol. 2012 Jan;33(1):14-9.PMID: 22173517



よくある薬剤としてはゲンタマイシン、ポリミキシンB、コリスチン(ポリミキシンE)、アムホテリシンBなどを経口的に投与するというもの。効果としては、上記の論文では効果ありとしているが、一方で耐性菌が出現したとの報告もある。↓
Rapid emergence of secondary resistance to gentamicin and colistin following selective digestive decontamination in patients with KPC-2-producing Klebsiella pneumoniae: a single-centre experience.
Lübbert C, Faucheux S, Becker-Rux D, Laudi S, Dürrbeck A, Busch T, Gastmeier P, Eckmanns T, Rodloff AC, Kaisers UX.
Int J Antimicrob Agents. 2013 Dec;42(6):565-70.PMID:24100228

ちなみにゲンタマイシンはやや血中濃度として測定された報告もあるので一応注意は必要。↓
Reduction of colonization and infection rate during pediatric intensive care by selective decontamination of the digestive tract.
Zobel G, Kuttnig M, Grubbauer HM, Semmelrock HJ, Thiel W.
Crit Care Med. 1991 Oct;19(10):1242-6.
PMID:1914480



これらの着眼点は、欧州でCRE(carbapenem resistant enterobacteriaceae)なるものが問題となっているために、これらの除菌により手術後や免疫低下者などの感染症発症を予防しようとするもの。なぜかというと、そりゃCREに対して著効する抗菌薬がないのだからこういう発想になる。本当に仕方がないわけである。著効する抗菌薬さえあれば、こんなことはしないわけである。単純な大腸菌感染症を予防するために免疫低下者において大腸菌を除菌なんてしないことはみんな承知済みのことである。

だからこそ、使いどころを誤ってはいけない。今の日本では必要ないわけだが、今のままだといずれ必要となる日が来る。そのときのために情報はアップデートしておきたいし、出来ればその日が来ないように日々の耐性菌対策を怠ってはならない。
posted by だっちょ at 01:42| Comment(0) | 感染症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする