2017年06月20日

大量出血時の薬物速度論

6/18はJSEPTIC薬剤師部会セミナーに参加してきた。基礎からしっかり学ぶ機会を得ることができてとてもうれしい。
何より懇親会も楽しかったですね。お会いした方々との出会いを大切にしたいと思います。

さて、よく質問を受けるこの話。大量出血した場合に、薬物の体内への残量をどのように考えることができるのか。
先に答えを述べておくと、多くの場合問題ないことが、速度論の観点から定量的に述べることができる。とはいえ、しっかり考えると個別化医療にもつながることもある。実際にそういうアプローチをしたことがある。

今回の問題の発端は、”大量出血すれば、薬物の大部分が失われて、補充する必要があるんじゃないか” という疑問である。しっかりと定量的に速度論を考えよう。

そのためには、まず目の前の薬物がそもそもどのようなクリアランスや分布容積を持っているかを把握する必要がある。インタビューフォームなどから情報を整理していくことになるが、この作業の精度を上げることが薬剤師としての一つのライフワークであるといえる。極めて基礎的な話をすると、薬物の投与量は、初回のローディングは分布容積に依存し、維持投与量はクリアランスに依存するわけである。

今回のケースは、60kg の患者がベースとして薬物投与が行われていた中で、10 L の大量出血が起きた、ということを考えてみよう。薬物の分布容積の観点からは、最低でも細胞外液以上の分布容積 (0.25 L/kg) を持っている(今回は抗体製剤やグロブリン製剤の話はナシで)。とすると、細胞外液は 15 Lとなる。ならば、66%が除去されるためにしっかりと補充が必要か、という思考になるが、そうなると出血が起きた時点でどの程度の血中濃度があったのか?を考えなければならない。いつ投与して、今何時間たっていて、ということを考え出すと、なかなか答えにたどり着けないだろう。こんなことは毎回やっていてはならない。
ちなみに10Lの出血が起きた場合、血液量×(1-ヘマトクリット値) が血漿量になる。血球成分に分布しない薬剤(ほとんど)であれば、血漿量を考慮しておく必要がある。ヘマトクリット 50 % で 5 Lの血漿量になる。そうなると、33 % の除去になるのか。ちょっと影響が小さくなった。そもそも10L出血は異常であり、そもそもの血液量を超えているので、じゃんじゃん輸血している状態ではある。ということは、出血中にどんどん血液中濃度が薄まるので、最初想定した血中濃度よりもどんどん小さくなっているよね、、、じゃあ除去量はさらに小さくなる。どのくらい??  あれれれ??

という風に、ドツボにはまっていってはならない。つまり、ここで発想をしっかり転換していこう。その回答編は、また後日、ということで・・・

すいません、今日はもう眠いのです(^^;)
posted by だっちょ at 01:23| Comment(1) | 薬物動態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
回答編、楽しみにしています(^^)
Posted by bigvoice212065 at 2017年06月21日 13:36
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: