2016年02月16日

ロジックをすっ飛ばすとドツボにはまります

TDM をやっているとソフトウェアって便利ねぇ、などの感想が出てくる一方、そこで止まってしまっている方は、残念ながら薬物動態学やTDM学を専門とするには、向いていない、というお話。
BMs-Podの作者が言うんだから、間違いないww

目の前のソフトウェアがどのような過程を経て解を得ているか、全く考えたことない人はいないと思うが、そこにたいしてどれほど考察を加えたか、話をしていると大体見えてくる。あまりコアなところまで考察を加える必要はない。

先日、こんな話が聞こえてきた

「バンコマイシンの血中濃度が上がらないんです。腹水が2L/dayも出ているから抜けている可能性もあるのかな?」

ばかなことをいうんじゃない、と思った方が大正解。
たぶんそんなことはないんじゃないか?、と思った方は、先ほど言ったような向いていない方に該当する。
少し考えればほとんど影響がないことくらいわかる。腹水2L/dayには濃縮過程は存在しない。透析患者で希釈尿が出ているようなものだ。



CRRTのバンコマイシンの投与設計が難しいという方もいるかもしれない。あまり取り扱わない方が慣れてないから難しいというならばわかるが、よく扱う方ならば、CRRT時の何が難しいのか?をきちんと把握すれば、そこまで難儀ではない。CRRT時のバンコマイシン(に限らずほかの腎排泄型薬剤もそうだが)でもっとも難しいのは、体クリアランスの残存である。CRRTからのバンコマイシンのクリアランスは論理的に説明できる。成人ではろ液速度×遊離体分率だ。そしてAKIの時にどの程度バンコマイシンのクリアランスが落ちるかさえ、患者の推移やカンファレンスなどで把握するよう努めれば、投与設計はおのずと答えが描かれる。そして、メロペネムよりもセフェピムやセフタジジムのほうが楽である。その理由は正常腎機能患者におけるトータルクリアランスに基づく。CRRT患者の投与設計の困難さが正常腎機能患者の生理機能で決まるという方程式は実に興味深い。まるでオイラーの等式のようだ(言い過ぎww)

”サンフォードにこう書いてある”、”とある論文によれば”などの話は確かに大事だが、それとロジックがどれほど違っているかを考察すれば、大した差はないことに気づく。むしろロジックからかけ離れた報告は極めて注意が必要といえる。その背景を十分に考察する必要がある。そのような背景を持つ患者と目の前の患者の適合性をも考えなければならない。



○○の投与設計がわからない → 文献検索をする、じゃなくて
○○の投与設計がわからない → 論理的に検討する → 文献検索で理屈との現実のすり合わせを行う、という癖をつけていただければ、効果的な研究も展開できる。


では、重症熱傷で、皮膚からの浸出液が14.4L/dayもある方のダプトマイシンクリアランスへの影響を考えてみる、というのも面白い。今度の懇話会で解答しちゃいましょうか(^^
posted by だっちょ at 15:03| Comment(0) | 薬物動態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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