2015年03月10日

ホスホマイシンの投与設計

患者:68歳男性, 身長178cm, 体重85kg
主訴:健診にて大腸に異常陰影指摘あり
現病歴:上記により外来受診した。精査の結果大腸がんとなり、切除目的で入院となった。切除術施行2日目に急激な血圧低下、人工呼吸器管理が必要となり、ICU入室となった。腹膜炎の診断となり、メロペネム1g×3で開始となり状態は改善傾向に。11日間の投与により人工呼吸器からの離脱に近くなったころ再度血圧低下を認めた。胸部レントゲンにより右上肺野にコンソリデーションを認めた。このころ乏尿となりCRRT開始となった。気管内採痰のグラム染色ではMiller JonesでP3, 視野にGPC 3+, GNR 4+を認めており、培養の結果はMRSA、Stenotrophomonas maltophiliaであった。エンピリックにバンコマイシンが開始されておりトラフ値が17μg/mL程度で推移していたが状態の改善は乏しかった。さらに内頚静脈の1セットの血液培養からEnterococcus faeciumが検出されており、ソケイ部のカテ先からも検出されていた。腹部CTでは腹腔内に小さな膿瘍を2箇所に認めていたが、外科の判断では現在の状態ではドレナージの対象ではないとのコメントであった。肺炎のonsetから5日経過してもCRRTからは離脱できなかった。呼吸器条件はP/F 200程度、乏尿継続、と状態は横ばいであった。この状況下で、Stenotrophonomas maltophiliaに対する抗菌治療を開始することなり、感受性のあるST合剤とホスホマイシンを投与することとなった。

Question1:ホスホマイシンの投与設計をどのようにするかを答えよ。
Question2:その他必要な介入を記載せよ。



受験シーズンなので試験の問いのような形式にしてみましたw




関係ない話ですが、さっき”帰無仮説”と入力したつもりの変換が”金仮説”となってしまったwwww
posted by だっちょ at 05:38| Comment(4) | 薬物動態 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
CRRTがからむと投与設計が全くわかりません。
回答できなくて寂しいでが、他の方のコメントで勉強させていただきます。
Posted by bigvoice212065 at 2015年03月13日 20:39
海外文献では8gを12時間おきなどありましたが、尿中未変化体排泄率が高く、蛋白結合率が低く、分布容積も小さいため、CRRTで除去されると予想し、添付文書上の2g×2回はいかがでしょうか。
注意点はホスホマイシンによる高Naと真菌の関与の確認のためβ-Dグルカン測定を提案したいです。
Posted by 3stars at 2015年03月16日 08:04
初めて投稿します
今回のホスホマイシンの投与設計ですが

定常状態においては
1.どのような薬剤でも治療に必要とされる血中濃度を維持すること
2.そのために代謝・排泄した分を補う投与量を投与すればよい。
といえると考えます。

ただし、提示症例においては以下の情報が不明わかりませんでした。
1.Stenotrophomonas maltophiliaを治療するためのホスホマイシンの必要血中濃度
2.CRRTによるホスホマイシン除去率

このため
1. Stenotrophomonas maltophiliaの治療に必要な投与量を先発メーカーインタビューフォームの菌種別MICから最大の25μg/mLとする
2.CRRTによるホスホマイシン除去率は0
と仮定しました。

クリアランス、分布容積データも先発メーカーのインタビューフォームより引用しました

まず、85kgの患者の分布容積は15.58L
乏尿なので腎クリアランスは無視するとして薬物クリアランスは
全身クリアランス-腎クリアランス=0.0045L/hr/kgとなりますので
85kgの患者の24時間クリアランスは9.18L

なので24時間で必要な投与量は9.18×25mg/L=229.5mg
ゆえに0.5g/日の隔日投与でどうでしょうか

ただしCRRTによるホスホマイシン除去率(この場合、生体腎と異なり再吸収は行われないためクリアランスは高くなる恐れがある)を考えて定常状態では0.5〜0.75g/日または1g/日の隔日投与程度を考えればよいのではないでしょうか。
ホスホマイシンの場合、薬物の安全濃度域が広いため厳密に投与計算すべきか必要なのか、健常人と同じでもいいのではないかという考えもあるかもしれません。しかし、ホスホマイシンのNa含有量を考えた場合、提示症例のように循環器系に問題があればできる限り必要最小限の投与量とすべきであり、この点から薬剤師による投与設計は必要なことであると考えます。

また、乏尿であれば投与初期においては負荷投与を行い、速やかに血中濃度を適切な値へ上昇させるべきと考えます。故に初日は1〜2g/日でよいと考えます。できればこの点についても適切な負荷投与期間の計算方法をご教授願えれば幸いです。

その他の留意点としては
入院環境およびカテーテル取扱いの状況確認を行うべきと考えます。

以上、拙い考えではありますがよろしくお願いします。
Posted by 福岡のお天気おじさん at 2015年03月16日 20:45
おぉ、多数のコメントありがとうございます。

>bigvoice212065さん
特に報告もあまりありませんしね。その辺が今回の意識するところでもあります。

>3starsさん
成人量と同等ということですね。ありがとうございます。

>福岡のお天気おじさんさん
どうも初コメありがとうございます。いつもお世話になっております。また懇話会いらしてくださいね。
0.5g/day程度でよさそうとのご意見ですね。




本件は、ホスホマイシンのように確定した投与方法がない薬剤に対してどのように薬物動態学的に、そして文献的にアプローチするかという問いです。そろそろ解決編としますね。
Posted by だっちょ at 2015年03月16日 22:58
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